ゾクチェンの禅修次第

一、 亜青寺伝承の解脱道の禅修行次第の概説 

冬の亜青寺

  亜青寺は亜青邬金(烏金というのは、パドマーサンバヴァ[蓮華生大師]の浄土で、南西宇宙の「サンドゥペルリ山」の浄土のことです。)禅林とも呼ばれ、亜青邬金禅修聖所(聖なる所)とも言われています。亜青寺は禅修を主として修行する道場です。同時に亜青寺はニンマ派の大円満法(ゾクチェン)伝承を主として修行しています。ですから、亜青寺の修法は主に禅修の方法で、大円満伝承の順序に従って修行を進めています。
  大円満(ゾクチェン)の究極的な見解(見識)は本来清浄で、本来解脱であることです。こういう見解(見識)は順序に従って修行した後で得たものわけではありません。しかし、修行者の根性はそれぞれ異なりますので、阿秋ラマリンポチェは仏法を伝授する際に、修行の根性に基づいて如来密意の伝承、持明の表示伝承、ポテガロ(人間という意味です)の耳と口によっての伝承を授けます。
  如来密意の伝承は根性の鋭い(レベルが高い)修行者向きで、適当な因縁が揃っているときに、上師が以心伝心をもって弟子に仏法を伝授する方法のことです。持明の表示伝承も根性の高い(レベルの高い)修行者向きで、上師のすべての示しをもって、弟子が即座に核心の奥義を悟ってくる一つの伝授方法です。ポテガロの耳と口によっての伝承というのは悟った上師が一対一で弟子に秘訣を伝授することです。弟子が修行を実践した後で修行体験を上師に報告し、上師はそれを導いてあげたり、認めてあげたりする一つの伝授方法のことです。多くの修行者は三番目の方法で上師に求法(仏法を願い求める)しているのです。
  多くの修行者は中級、初級レベルの根性ですから、亜青寺の伝承の要求としては、弟子が修法する時に順序に従って修行しなければなりません。出離心(生死の苦界を離脱して悟りの世界に入る心)、菩提心、空性の正しい見解という菩提道の順序に従って、まず共有の外の前行から修行を始め、次は秘密の内の予備修行をし、如法(仏の教法に従い理に適うこと)共有の外の前行と秘密の内の予備修行を完成したうえで、具徳の上師のところに大円満法の秘訣(ロンサル、ロンチェンの二つの伝承の秘訣法を含めている)を願い求め、上師の導きのもとでワンステップずつ禅修を続けます。
  共有部分の外の前行の修行を通して、真実の出離心(生死の苦界を離脱し悟りの世界に入る)と解脱を求める憧れの心が生まれてくる。秘密部分の内の予備修行を通して、真実の出離心が生じたうえに自然に菩提心が生まれてきます。罪を懺悔することと福を積み重ねることを通して、菩提心が絶えずに拡大され、上師三宝に対しての信心がますます深くなってきます。 こと時、さらに悟った上師の導きに従い大円満法(ゾクチェン)の秘訣を禅修し、空性の正しい見識が必ず自然に生まれてきます。                    

二、亜青寺伝承の前行禅修次第
  2-01共有部分の外側の前行禅修

亜青寺の風景

  共有部分の外側の前行禅修は「健全な人身の有難さ」、「寿命の無常」、「因果の真実」、「輪廻の苦痛」(この四つの内容の修行は四出離心、あるいは輪廻を嫌がる四つの思惟とも呼ばれている)、「解脱の利益」、「善智識に帰依する」という六つの内容が含まれています。共有部分の外側の前行禅修の具体的な修法に関しては、http://www.sdgh.org/leadto/Three_index.aspx(聖道光輝というホームページをアクセスし、実修引導―導入実修―大円満前行実修の共同外前行)、『大円満前行引導文』、『菩提道次第広論』など共有の外側前行に関わる内容をご覧になってください。共有部分の外側の前行の具体的な修法は慈成加参リンポチェが伝授した『共同外前行実修引導』と『光明の旅――慈成加参リンポチェの開示集』この二冊の本に載っています。
  2-02禅修方法:
  座禅の方法で、共有部分の外側の前行にあるすべての内容を、観察したり、禅定したり、瞑想と安住(入定にゅうじょうのこと)の方法を交替することによって修行します。
  2-03修行の時間:
  伝承祖師である紐西龍多リンポチェはこう説法されました。「共有部分の外側の前行を修行するには、華智リンポチェが定まったしきたりの修法に従えば、<健全な人身の有難さ>修法から始まって、<菩提心を行動に移そう>までの六つの内容は少なくとも146日の時間がかかります。毎日四回座禅し、一回は2時間計算と仮定します。或いは自分の状況に合わせて、毎日一回か二回禅修します。もしずっと続ければ、心が徐々に柔らかくなり、聖道に赴けます。」と。
  2-04修行が達する目標:
  「健全な人身の有難さ」、「寿命の無常」、「因果の真実」、「輪廻の苦痛」の論理を考えるだけではまだ不十分ですので、実際の修行の繰り返しを深めてこういう観念を内心に入らせ、自分の生活観念を根本的な変化を起こさせ、こうすることでだけ自分が本当に仏法を修める効果を得ることができます。

三、 秘密部分の内側の禅修


  秘密部分の内側の修行は「帰依、発菩提心、金剛薩埵(ヴァジュラ?サットヴァ)懺悔法、曼荼羅供(まんだらく、曼荼羅を作製し供養する)、上師ヨーガ法」という五つの内容が含まれています。大礼拝の修法(全身を伏せ、礼拝すること)は帰依の修法と一緒に行ってもよろしいし、分けて別々に行ってもよいです。「帰依」「発菩提心」「金剛薩垛懺悔法」「曼荼羅供」「大礼拝」の修法はそれぞれ10万回を修めなければなりません。さらにそれぞれ1万回を補足し、全部で55万回になります。秘訣法を求める立場からいえば、55万回は秘密部分の内側の修法が完成したと言えます。上師ヨーガ法の要求として、蓮華生大師(Padmasambhavaパドマーサンバヴァ、ペマジュンネ)の心真言を一千万回唱えなければなりませんが、それを続けてゆっくり終わるまで完成させれば結構です。亜青寺に於けるロンサルとロンチェンの二つの伝承はそれぞれの修法次第も異なります。修法する際に伝承の要求に沿って修します。修法する時になるべく座禅の姿勢で修め、こういう姿勢で修法すれば修行の質も上がってくのです。
  秘密部分の内側の修法に関する具体的な座禅方法は「聖道の輝き」のホームページhttp://www.sdgh.org/leadto/Three_index.aspxに於ける実修導き―導入実修―大円満前行実修―不共内加行に詳しく紹介されています。慈成加参リンポチェが伝授した『五加行実修引導』という本にもはっきり説明されています。それをご参考ください。

四、 上師ヨーガの禅修


  阿秋ラマリンポチェの『迅速成就上師ヨーガ法』は実は予備修法の内容に含まれず、五種類の予備修法にある上師ヨーガ法と異なります。実は、亜青寺のロンサルとロンチェン伝承のすべての秘訣[ノーハウ]は全部『迅速成就上師ヨーガ法』の禅修に溶けんで修行できます。ですから、亜青寺は『迅速成就上師ヨーガ法』の修行を非常に重視しています。伝承を受けた弟子が伝承を受けた日から究極な成就を得るまでずっとこれを修めなければならないと要求されています。
  いま現在各地のチームが共に修行しているのも、みなさんがネットで共に修行しているのも阿秋ラマリンポチェの『迅速成就上師ヨーガ法』です。今のところは皆さんがどの部分の内容を修行しているのかはともかく、毎日少なくとも一回『迅速成就上師ヨーガ法』の修法を確保しなければなりません。共通部分の予備修法(前行)を済ませた弟子は、もっと多くの時間と力をこの修法に入れるべきです。毎日二回、三回、四回でもよろしいです。
『迅速成就上師ヨーガ法』の具体的な修法は慈成加参リンポチェが伝授した【『迅速成就上師ヨーガ』修行実践の導き】という本あるいはDVDを参考してください。もしくは聖道の輝きというホームページの「共に修行する」-「共に上師ヨーガ」をアクセスしてください。

五、亜青寺伝承の秘訣禅修次第


  

  5-01初級禅修 
  寂止という修法
  寂止という修法は有相(うぞう、様相、形態のあること)寂止と無相(様相や形態のないこと)寂止が含まれています。また無相寂止は戸惑いの無相寂止と清明(明瞭)な無相寂止を含んでいます。初級コースでは、リンポチェはみなさんに有相の寂止と無相の寂止の禅修のトレーニングを指導します。
  有相寂止の禅修トレーニング
  禅修の相手:
  この段階では必ずしも宗教とは関係があるとは限らないで、この課程は世の中で最も楽しく暮らしたいすべての人向けで、解脱を求めたい修行者には限らないのです。
  禅修の目的:
  この禅修の訓練を通して、乱れている固い心をだんだん柔らかくさせ、優しく清らかにさせます。このとき心がますます鋭くなり力強くなり、だんだん自由に心を集中させたり、気を緩めたりする能力を持つようになります。このとき、あなたはますます仕事や生活上に会う様々な変化と圧力に直面する心力(心の働き)を持つようになり、いろいろなマイナス的な情緒と念頭を治めたり、転化させたりする心力を持つようになります。
この課程は解脱し成仏することを求めている者のどなたにも必修の基礎的な禅修課程です。
  禅修の方法は外在にある特定の物体に目を凝りそこに精神を集中し、、あるいは自分が念じている仏名に精神を集中し、あるいは自分の呼吸など色、声、香り、味、触りに関わるすべての外在の条件を禅修の対象とし、心の集中力をますます深めさせていきます。
  禅修行のポイント:
  如法(仏の教法に従い理に適うこと)の座り方、呼吸式を生かしたり、座る時間を短くし、座る回数を増やすなどの取り組みを行ったりすることによって、心を集中させ、乱させないように特定の対象に専念します。
  禅修行の初心者には心をすこし締めつけるようにすることです。(さもなければ、心が妄念に従って巻き込まれ、意識が朦朧になりかねない)。妄念に気がついたら、或いは朦朧たる意識が生じてきたら、すぐにそれを切断することを強行して、心が専念する目標に戻させます。専念すぎて目標がはっきり見えず、ないしは消えてしまう時になると、座り方と呼吸を調整し、心がどこにも引っ張られない無縁のままで、完全に安らぎ、気を緩める状態で禅定に入ります。この時、もし微かな妄念が生じたら、妄念の本来の姿のままに任せます。粗大な妄念あるいは意識の朦朧状態が再び生じた時、もう一度、強制的に切断し、専念する目標に戻せます。このように締め付けたり、緩めたりした入れ替えの修行を飽きずに繰り返しのトレーリングを続けます。
  戸惑い無相寂止の禅修行訓練
  有相寂止の禅修行訓練を通して、心がだんだん和らぎ、落ち着くようになります。上師が教えられた自然のままに気持ちを緩めるなどの秘訣を生かし、徐々に無相寂止の禅修行状態に入ります。
  このとき、禅修行は普通二つの現象が生じてきます。一つは楽、明、無念の感覚という清明な状態が生じてきます。もう一つは頭脳がパー(空白)になっている無念でぼうっとしてぼやける状態です。この時、禅修行者はとても清浄と禅定の安らぎに耽りがちです。往々にして回りの人々に接するのを嫌がり、回りの環境が自分の禅定を妨げるのを心配し、衆生を助けたりする情熱が失われます。もしもの楽、明、無念の状態に執着したら色界(しきかい、三界の一つ、欲界の上に位置し、欲望を離れているが、なお物質的存在(色)からは解放されていない。)、無色界(一切の色法[肉体、物質]の束縛を離脱した、受、想、行[ぎょう]、識の四蕴だけで構成する世界)に陥る恐れがあります。もし無念でぼやける状態に執着したら動物、畜生道に陥る危険があります。
  以上の段階の禅修行は勝観(卓越した知性力)という知恵(つまり心の本性?セムにー?がまだ見知られていない)をまだ体験していなく、菩提心の知性力に欠けて、無明の戸惑い状態をまだ突破していない状態であることから、戸惑い無相寂止と呼ばれています。これは世間の禅定に属しています。世間の禅定は煩悩を抑えることができるのですが、煩悩を解脱する能力がありません。
  5-02中級の禅修行
  勝観という知恵――心の本性(知性)を体験するための導き
  勝観という言葉にある?観?とは意識で観察する意味ではなく、勝観とは心の本性?セムにー?を直接体験するということです。
  究極的な見解(仏法の教義)に関する諭し(法話)を聞いたり、考えたりすることによって、恐らくたくさんの人は究極的な法義をある程度認識できるようになるでしょう。しかし、それはただ知識的に了解する段階に止まるだけです。このステップからリンポチェは究極的な解脱の見解を実際に体験させることを導きます。この段階の禅修行は上師が弟子に対し、一対一の形で口で伝授し聞かせ、上師の直接の指導をもとに次第に前へ修行を進めるようになっています。
  禅修行の内容:
  心を見つけ出す導き、四空融合の導き、意識と知恵の見分け、阿頼耶職と阿頼耶、阿頼耶と法身の見分けなど甚だしい秘訣の導き、山の如き動かしがたい見解の勝観知恵(心の本性を直接体験する知恵)が生じてくるようにする導き。
  禅修行の方法:
  心が何事にも引っかからない無縁のまま入定し修行したり、あるいは上師が教えられた秘訣の甚だしい知恵で観察したり、この二つの方法を交替することによって修行を行います。
  修行のポイント:
  弟子が上師に対する無類の敬信心と信心の力、および上師自身の悟りの加持力を頼りに、心の本性を直接体験し悟り、心の本性を見知ります。この時、戸惑い無相寂止が清明な無相寂止の禅修行状態に調整されました。煩悩の妄念がやはり以前と同じように生じてきますが、前と比べてもっとも重要で大きな違いは、この時は解脱の能力を持つようになってきました。解脱の力とスピードから言いますと、最初の段階では、生じてきた妄念が確認された時点は解脱になり、まるで旧友と出会うようです。真ん中では妄念自身が解脱し、まるで捲れた蛇が自分で結びを解いてきたようです。最後は妄念が利害なしに自分で解脱し、まるで泥棒が空っぽの部屋に入ったようです。
  ?本来解脱、刹那解脱、顕現解脱、自我解脱?といったような言葉の表現はどれであるかはともかく、妄念が解脱の力を持っていることはポイントです。一旦このポイントを悟ったら、煩悩の妄念を調伏するということは、今まで意識を修道用に変えることが知恵を修道用に変えることに変換されます。この禅修行の訓練を通して、世間の禅定が出世間(世俗を離れて悟り世界に入る)禅定に変換されます。
  5-03 上級の禅修行
  止と観の双運(融合)禅修行
  勝観という知恵を体験し、心の本性を見知った上に、解脱の見解を安定させ知り尽くすためにもっとも禅修行に励むことが必要です。この段階の禅修行は篭ってもっぱら修行するのを主とします。例えば、いま毎年の冬、亜青寺において通常行われている光明のトッガ(超越)百日篭もり修行とか、亜青寺の座禅院の中で三年間にわたる篭もり修行などあります。
  勝観という知恵(心の本性を見知る知恵)が座禅するときに基本的に安定できるようになったら、禅修行を日常生活に融けこませるべきです。このとき、日常生活にあるいろいろな場面と念頭、気持ちなどは全部心の本性を見知るための有力な援助になります。
  禅修行のポイント:
  禅定と勝観の知恵が融合になって修行し、座禅を組む時でも座禅を組まないときでも、日常生活にあるあらゆる場面と気持ちが起伏する即座の時点で、ただ解脱の見解を守り維持させていくのが唯一のことです。この段階の禅修行はすでに勝観の知恵が備わり、解脱の境地に入定(安んじて止まり)し、出世間の禅定に属します。
  以上亜青寺伝承の解脱道禅修行の次第に述べた導きは終了いたします。